ショート・ショート 『お楽しみはこれから』

ショートショート

Y氏は日記を読んでいた。

〇〇月〇〇日
毎日、仕事が大変だな〜。
帰り道にコンビニで買ったお酒を飲んで、
好きなテレビを見て、体力回復!!
明日は、新人が来るからちゃんと教えられるようにしないと!

〇〇月〇〇日
初めての新人があんなに可愛いなんて!!
仕事の疲れも吹っ飛んじゃう
明日も頑張らないとな!

玄関の前で拾った日記には、最後のページまでぎっしりと文字が埋め尽くされていた。

日記には、見知らぬ名前が書いてあり、女性のような柔らかい字体だったので、興味本位で眺めていた。

〇〇月〇〇日
今日は、〇〇と、買い物に行きました。
〇〇は、本当に服が好きなんだな。
でも、〇〇はこっちの服の方が似合うのに、でも、好きな服を着ることも大切だよね。

〇〇月〇〇日
今日は、〇〇とお家でデート。
お仕事で疲れちゃったのか、すぐに寝ちゃったね。
起こさないように〇〇の顔を見てたけど、本当にかっこいい。
明日も仕事がんばってね。

 

Y氏は、一瞬固まった。
日記には、なぜかY氏の名前が書いてあった。

急に怖くなり、その日記を元の場所に戻そうかと思った。
興味本位で拾ったことを後悔した。

ーーー ピンポーン ーーー

玄関が鳴った。
急いで、日記を閉じ、玄関を見ると、半透明のガラスには、黒い影が見えた。
もしかしたら、日記か?

怖くなり、そのまま足音を立てないように二階への急いだ。
開けっぱなしになった扉に身を滑らせ、そのまま鍵をかけて息を潜めた。

「すみませーん。誰かいませんか?」

聞き間違えたかと思った。
今、玄関から、男性の声が聞こえたのだ。

日記は、女性の字体だったはず、なぜ玄関からは男性の声が?

Y氏は少し考え、日記とは関係のない人が尋ねてきたのだと思った。
深呼吸をして、ゆっくりと立ち上がるとドアノブに手を伸ばした。

そういえば、この部屋、なんで開いてたんだろう。
使っていない部屋は閉めているはずだった。

そして、腕に力を入れると、後頭部に衝撃が走った。
視界が暗くなり、地面に倒れた。
消えていく、意識の中、耳は微かな音を拾っていた。

「すみませーん。警察です。誰かいませんか?」

私の後にいた足音は、ドアを開けるとそのまま一階へ降りていった。

 

「すみませーん。警察です。誰かいませんか?」
男は、焦っていた。
この家の住民に賭けるしかなかったのだ。
すると、ドアが開いた。

「すみません。ここら辺で、手帳を見ませんでしたか?」
「手帳ですか、見ていませんね。どうかされたんですか?」

中から出てきた女性は、どこかで見たことがあるような顔だったが、日記のことが頭によぎった。

「実は、ある事件の証拠をここらで落としてしまったんですよ」
「何か事件でもあったんですか?」
「ある女性がしばらく前から行方不明でして、その女性の所持品を頼りにこの辺りを当たっていたんですが、、無くしてしまって、、、」

女性は、驚いていたが、納得したのか笑顔になった。
「見つかると良いですね、日記、、」
「日記を見つけないとクビになっちゃうので、もう行きますね!」

男は、車で警察署に向かっていた。
「日記、、」
女性は確かにそう言っていた。
それにあの顔どこかで、、。


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