卵を孵化させたい男 第九話 とある欲求

ふと、卵を地面に叩きつけたいという欲求を感じた。
最近では、卵を落としてしまう夢や卵が割れる想像をすることが増えてきたと思う。
深層心理というやつなのだろうか?
夢の中で人を殺すという夢は、吉夢だということを知っているだろうか。
自分に変化が訪れるということの表れだと聞いたことがある。
どうやら、夢の世界では良いこと、悪いことが逆に現れることになっているようだ。
私が、最近に見た気持ちの悪い夢は、歯がボロボロ抜けてしまう夢だ。
食べ物を噛むが、噛み合わせが悪く、奥歯から順に地面に落ちていく。
その時に感じる感覚はとてもリアルだ。
抜け落ちる歯が舌に当たり、両手には、歯を掬う感覚。
口の中に戻そうとするが、ブロックのようになった歯は元には戻らない。
起きてすぐに、両手で歯を触ってしまうほどに現実と見分けがつかなかった。
ちなみに私の夢は、映画インセプションのように夢が重ねがけになっていることがあるので、二度驚かされる。
起きたと思ったら、夢だったを繰り返す。
卵の話に戻るが、
卵が割れる夢を見るのは、卵を割りたくないという本心が私の深層心理に語りかけているのだと思った。
夢も深層心理に影響を受けるように卵が割れるところを頭に浮かべる。
状態を確認するためにテーブルの上に卵を裸にして置くと、ふとした時に卵がテーブルから転がり落ちて割れる。
床の上には、少し赤みがかった半透明な液体が放射状に広がっていく。
手が震えるほど、恐怖しているわけではないが卵を手にする時に別の世界線から情報が送られてくるような感覚を得る。
私のする想像の中に、
別の世界の自分は最善を尽くしているのか?
というものがある。
他者と比較することはしないが、自分は例外である。
自分というのは、信頼できる友であり仲間である。
並行世界が横並びに続いている中、この世界よりも頑張っている自分を見れば、私の中にはモチベーションが湧いてくる。
並行世界では、一つの選択が行われるたびに、世界が消え、また別の可能性が浮かび上がる。
その中の一つで、卵を自らの手で割るというものが存在する。
無限にある可能性の中で、自分の頭で思いついた現実味のあるものがそれだ。
想像しうる可能性は、行動すれば全て現実になってしまう。
この記事を書いている時に卵を取り出し、床に叩きつけることだってできる。
別の世界線の私と共鳴をしている。
卵を叩きつけたいという欲求と孵化させるという約束が葛藤している。
並行世界から卵を割る世界が消えることはない。
私が卵を持っており、それが孵るまでの間はそういった危険が潜んでいる。
思考実験で、並行世界のことを考えるのは好きだ。
自分の選択の確認を行うことができ、冷静に物事を見ることができる。
答えが出ないものは、好きに解釈ができるのでどうせなら良い方向に想像すべきだ。
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