卵を孵化させたい男 第二十三話 不可

謎卵と私の一ヶ月間

24日目

明日になったら、卵を処分しようと思う。

墓に掘った穴に中身を流し込み、殻も埋めようかと思う。
どの状態までできているのかが、分からないので少し怖いところもある。
鋼の錬金術師のお母さんを作ったところと似ているのかも知れない。
私は、あのシーンが怖過ぎて、開くことができなかったほどである。

手のひらがすごくカサついている。
クリームを塗らないといけない。

5月は、卵のことを考えることが多くて、人生でもなかなかない経験だったと思う。
少しストレスが、溜まっているのかも知れない。
ストレスの解消法やストレスとの向き合い方などを散々本で読んでも落ち込んでしまう気分を保つのは、難しい。
雪道で転ぶ時というのは、流れに任せたほうがいいのだ。
そうすれば、変な転び方をして余計な怪我をすることを防ぐことができる。

ストレスが溜まっていてもおかしなことはなく、そのストレスによって起こりうる最悪なことを防ぐことができればいい。

ストレスを発散する方法は様々だ、運動でも読書でも。
私が、今望んでいるのは、感動する映画に出会いたいといったことだ。
映画で白けるのは、泣かせる演出があるものだ。
そういうものではなく、誰も意識しなかったようなもので感動を得たい、この前テレビに映っていた映像を見て、一瞬だが目頭が熱くなってしまった。

他の人からしたらなんともないシーンであり、私もなぜそうなったのかは覚えていない。
たまにデトックスしたくなるような感じだろう。
私は、小さい頃は泣き虫だったので、涙が枯れた時期があった。
怖いから、泣いていたのか、泣いた方が早く終わるからなのかは分からないが、いつからか怒る人を観察するようになっていた。

何に対して、そこまで怒っているのかが分からなくなったのだ、怒られている内容に相応しくないような個人的な怒りを向けられては、私も腑に落ちない。

そんなことがあって、私の涙は出ないと思っていたが、映画を見た時に湧き上がってくる感情を捉えた時にそれが嬉しくて泣いてしまった。
泣いたからいい映画というわけではないが、泣くようなきっかけを与えてくれる映画を求めている時がある。

卵で、泣きたいわけではないのだが、ストレスを流し切りたいと感じている。
こうやって、文字を書いていることもストレス発散にはなるが、文字では吐き出せないようなものをこの一ヶ月で飲み込んでしまったので、明日は、それを発散しようかなと思っている。

卵を孵化させたかった男


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