第九十回 個人的な今週のエッセイ R7.12/28-R8.01/04

お品書き
遮光
中村文則の「遮光」が読みたかった。それは、虚言癖の男が恋人の死を隠しながら生活する話で、普段持ち歩いているバックの中には黒い袋に包まれた瓶があった。その中には……。
昔、人に貸したきり忘れていたから、私の手元に「遮光」はなかった。図書館で借りようと思ったが、その図書館に蔵書はなく、すぐに近くの古本屋にも行ったが、そこにもなかった。私は違う本屋に生き、「な」の列を探した。しかし、中村文則の本はあっても、「遮光」はなかった。私は、どうしても「遮光」を読み返したかったし、それは今でなければならないという強い気持ちに突き動かされていた。違う本屋と、古本屋に一軒ずつ行き、置いていないのを確認したところで、私はやっと諦めることにした。諦めるといっても、私が普段行かない図書館に蔵書があるというから、その図書館に行こうと思っているだけで、読むことを諦めたわけではなかった。
私は自分の身体が衝動に突き動かされていくのが面白くて、しばらく身体を預けることにした。時間は遅かったが、そんなことは関係なしに暗い道を運転していた。その衝動がいつ、切れるのか、それを予想しながら店に入り、別の古本屋に行き、そして次の日にも図書館へ行った。私は今もまだ「遮光」を読んでおらず、だが、読まなければならないと思っている。手に入れたいものが手に入らない時ほど、発狂しそうになるのは、きっとそれが簡単に手に入るものだと思っているからに違いない。
えんがちょ
千と千尋の神隠しを観ていると「えんがちょ」というものが出てくる。ハンコについていた虫を千が踏み、釜爺が「えんがちょ、えんがちょ、、、切った」と言いながら、千が作った手の輪を切る。
どうやらこれは母たちが子供の頃に流行っていたものらしい。汚いもの、例えば犬のフンなんかを踏んでしまった時にえんがちょをすれば、汚くなくなる、というものだそうで、やり方は親指と人差し指で作った輪を左右で鎖のように合わせて、それを誰かに切ってもらう。どうやら踏んだもの以外でも手で行う場合もあるそうで、私はてっきりアニメの中だけのものだと思っていたから、なんだか面白い話を聞いたと思った。
千と千尋の神隠し
千と千尋の神隠しはジブリの中で最も好きな作品であり、恐らくアニメ映画の中でも一番観た作品だと思った。別の世界に迷い込んでしまうホラー要素と湯屋で働きながら仲間に受け入れられていくヒューマンドラマ要素が昔から好きで、物語が進んでいった後の「これでお別れ」のような寂しさの余韻にいつも浸っている。それと湯屋の建築デザインや挿入曲も、別のジブリ作品以上に私は好きだった。特に「神さま達」という挿入曲が好きで、これは船に乗って神さま達が湯屋へ到着するときに流れる。
昔はカオナシが怖くて、トイレにも行けない時があった。だが、今になって観てみると、カオナシが千尋にこだわる理由であったり、心情がなんとなく理解できるような気もしてくる。
今年も本を読む
本当は何か文章を書かないといけないと思っている。文字数が少ないのと、なんだか、すっきりしていないから。だが、私はこの後に本を読みたいからすぐに終わろうと思う。カズオ・イシグロの「わたしを離さないで」と西村賢太の「苦行列車」である。今年も色々と本を読もうと思う。だから、これで終わりにする。
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