完璧な夢

私は友人が少ない。だが夢の中に古い友人が出てくることがある。それも、仲が良かったわけではなくて、たまたま同じクラスとか、同じ班だとか、関係性が希薄な友人たちである。
むしろ友人と呼べるかすら曖昧だ。ほとんどが事務的な会話でその人の趣味などはほとんど分からないのだから。しかし、夢の中ではその人たちの笑顔が登場する。それが私に向けられたものなのかすら分からないが、それは確かに私に向けられていた。私の目を見て、私に語りかけていた。そんな記憶があったのだろうか。思い出そうとするも、ほとんどが抜け落ちている。そして、記憶の曖昧さが私の夢をより現実的なものにする。
そんな、ほとんど会話したことのない人たちが私の夢に登場し、そして何か言葉を交わし、笑顔を見せてくれる。これはあったかもしれない世界ということなのだろうか。私は友人たちの今を知らないでいるから、その過去が完全な形で再現されている。私の夢の中に監禁されているように、形を変えないまま、私に笑顔を向けている。
最近、私の夢に出てきた友人は小学校と中学校が同じ友人だった。片方は、デザインが好きな女で、もう片方は、サッカーとゲームが好きな男だった。私は彼らに対して、いい印象を持っていたと思う。私がどんな話題を口にしても笑顔で話を聞いてくれて、相槌を打ってくれた。二人とも優しい人間だったと思う。
中学校での授業の夢だ。私は二人に挟まれる形で授業を受けていた。教師の話など聞かずに三人でおしゃべりをしている。いつまでも話をして、ろくに作業をしない私たちに耐えかねて、教師が口頭で注意をする。
「おしゃべりばかりしていないで、手を動かしなさい」
もちろん、私にそんな攻撃など効かないので、次の話題に移ろうとすると、男の方は「やるか〜」と、作業をするように提案をした。私たちの顔色を伺い、上目遣いを向けていた。彼のほっぺには赤いニキビがあり、片方の白目には黒子のようなものがあった。
私は時間が解決してくれると考えていたので、なんとかなると考えていた。だが、男の提案を無視するわけにはいかなかったので、作業を渋々行う。
これは、夢なのだろうか。それとも記憶なのだろうか。
彼らは確かに存在しているし、性格にも矛盾はなかった。
いつか、記憶が全てドロドロと溶けていくのだとしたら、自分で嘘か本当か分からないものを信じるのだろうと思った。
物語と同じで、キャラクターさえできていれば、状況などいくらでも作れる。私は量産する記憶の中で、ありもしない夢を追いかけるのだろう。
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