白い線の黒い鳥

道路の中心線の上に黒い影が見えた。真っ黒なそれは左右に揺れながら道路の真ん中をうろうろとしている。アクセルを緩める必要性は感じられなかったので、足は離さずそのまま車を進めることにした。ハンドルを軽く左に傾け、タイヤが歩道の線のすぐ側を沿うように左を走る。そうすれば、道路の中央にいる黒い物体にぶつからずに済むだろう。50メートルを切った時、その黒い物体がカラスであることを知った。羽を後ろで畳んでいる姿は、年配の人が腕を後ろに組んで散歩をしているようで、どこか貫禄を感じる。私の運転する車が近づいているというのに、カラスは羽を畳んだまま、こちらを見ているだけだった。人間を遠目から見てルールを理解しているのだろうか。車が道路の真ん中を基準にどちらか一方にしか進まない。それを知っているからこそ、反対車線に飛び跳ねることができるのかもしれない。
カラスはいたずらをするというイメージがあったが、私は嫌いではなかった。カラスに襲われたという話を聞くたびにカラスに対して恐怖を感じることもあったが、近くにいるからといってわざわざ遠回りをしたりなどもしなかった。それにカラスは、艶のある黒い羽やくちばしであったり、どこか品を感じる。カラスに漂う魅力の正体が知りたかった。
カラスを通り過ぎ、視界から消えると、私の意識からもカラスはすっぽりと消える。田舎道の白線はどこまでもまっすぐに続いていた。
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