魚肉ソーセージ

今、この文章を書いている21時30分ごろ、外では子猫が鳴いている。
その猫はガリガリで小さなぶち猫でどこから来たのか分からない野良猫だった。
19時ごろにふと、やってきた子猫は初対面だというのにかなり人懐っこい猫だった。足元にくっついて周り、地面に転がりながら身体を擦り寄せてくる。私はその猫と目が合った時、逃げるのではないかと思った。だが、逃げる気配はなく、なんだか、初めて会った気がしなかった。猫はひたすらに鳴き、私に縋っているようだった。みすぼらしい身体を見ていると、なんだか体の内側が引っ掻かれたように痛い。何か食べ物をあげようと家の中を探すと、魚肉ソーセージを見つけた。袋を開け、猫の前に差し出すと猫は鼻を押し付け、そして、かぶりつくと、むしゃむしゃと食べ始めた。途中、魚肉ソーセージが地面に落ちたその破片を大事そうに食べている。私は猫が魚肉ソーセージを食べ終えるのをじっと待っていた。
食べ終わったことに満足したかと思いきや、猫は私から離れずにいた。とりあえず、道路に出ると猫は私の後ろを歩いてくる。散歩をしているようだった。温かい日にこうやって猫と散歩ができたらいいな、とそう思った。しかし、餌をあげることはできたとしても、飼うこととなると責任が伴う。飼うことはできない。できるとすれば、この子猫のために新しい飼い主を見つけるくらいだろう。
「猫がいる」そう言った母は、私と同じように食べ物を探し、私が見つけたものとは違う魚肉ソーセージを見つけた。母も私と同じようにみすぼらしいと感じたのだろうか。袋から出したソーセージを包丁で丁寧に切り、皿によそっていた。
「ソーセージ食べてると思ったら、蝶々のほう、いっちゃった」
「なにそれ、かわいい」
私は、バックなどにデザインされていそうな蝶々と猫が戯れている様子を想像した。だが、その後の母の言葉で一気にそのイメージが崩れた。
「たぶん、魚肉ソーセージ初めてだよね。いつもは、蝶々食べてたのかな」
私は「ふっ」と笑った。猫が蝶々に飛びかかり、トムとジェリーのように奮闘している姿を思い浮かべた。
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