干し柿とキウイとサバの味噌煮

私の脳内

アナグマの話は今日から1週間前の出来事だったと思う。1.祖父が罠にかかっているアナグマ見つけ、私に伝える。2.私はそれを実際に見に行き、アナグマの姿がたぬきやきつねに似ていることを思う。そして、アナグマの凶暴性を目の当たりにする。3.二日経ち興味本位でアナグマの様子を見に行く、するとそれはまだ生きていた。ふらふらとし、かろうじて意識を保っているように見えたので、きっと、すぐに死ぬだろうと思った。その時、アナグマが私の世界に入ってくるのを感じた。4.餌をあげた。ふらふらとしていたアナグマが気がかりでその日の夕方に餌を持って行った。アナグマの苦しみを長引かせているような気がした。いっそのこと殺してしまうかすればよかったのかもしれない。だが、私にはその勇気がなかった。警戒するアナグマは私の目の前で餌を口にしなかった。

今思えば、動物というは人間を除き、自殺を考えたりしないだろうから。アナグマは苦しみを感じていたとしても、死にたい、とは思っていなかったのかもしれない。逃げることや生きることなど、生存本能を第一にしていたのかもしれないから、苦しんでいるから殺してあげよう、というのは人間の自分勝手な妄想でしかないのだろうと思った。

アナグマに餌をあげたのが先週の金曜日のことで、土曜日の朝には私の世界からアナグマは消えていた。自分がアナグマに干渉して世界が始まり、自分の都合のいいようにその世界を終わらせた。逃がすために自分が危険を犯すことも、楽にするために殺すこともできず、安全な距離から食べ物を与えることしかできなかった。今日の朝になると、祖父から「アナグマがいなくなっていた」と言われた。「死骸を何かが持って行ったのかもしれない」と祖父は言い、ああ、アナグマは死んだのかと思ったが、祖父はアナグマの死骸を見ていないだろうし、何かが持っていくにしろ、私の地域には熊などがいないから、見当もつかなかった。

私の勝手な解釈だが、きっとアナグマは、逃げることができたのだろうと思った。ふらふらしているアナグマを見て、私が餌を与えていなければそのエネルギーは湧かなかったのかもしれないとも思った。私は自分の都合のいいように考えることが好きだった。どうせ死ぬのだから、と、餌をあげずにいたら今頃死んでいただろうから、私の最後の干渉は成功したということになる。ちなみに私が与えた餌は、干し柿とキウイとサバの味噌煮である。

 

 


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Posted by yuuya yamaguchi