ジョウロ

タネを蒔いていた。正方形に開けられた穴に赤く小さなタネを3つずつ入れていく。穴の中心は少し凹んでいるからタネが密集してしまう。そのため、なるべく角にタネを入れていった。土に開けた穴であるから正確な正方形ではなく少しの振動で崩れてしまう。だが別に崩れたところでどうでもいいことだった。タネを入れた後は崩さなければならないし、タネは密集してさえいなければいいからだ。タネを入れた穴のすぐ横には少し深めの正方形があり、そこには肥料や白い粉を入れていった。深い穴と浅い穴が交互に等間隔に並び、それらは白い穴と黒い穴で続いていった。
最後3メートルほどの穴にタネを入れるはずだったが、タネの残りが少なく感じ、2つずつに変更した。最後の穴にタネを入れると、手の平にはタネが1つだけ余っていた。それを最後の穴に入れた。
タネは蒔くだけでは意味がなく、水をやらなければ発芽はしない。ジョウロに水を入れ、できた3つの畝に順番に水を撒いていった。乾いた土が濡れていき濃い土色の線ができる。ジョウロに入れる水がなくなったので一旦、家に戻ると暗い雲が近づいているような気がした。
雨粒が額に落ちた。乾いたアスファルトは次第に黒く濡れていく。水道の蛇口を止めると、私は道具を片付けることにした。あとは雨に任せようと思ったのだ。
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