南会津へ行ってきた。

福島県の南会津へと向かった。毎年、祖父が米の配達のために一人で向かうのだが、今回は祖父が腰を悪くしたため私が手伝うことになった。どうせならゆっくりしていこうと、祖父は泊まりの計画を立て、届け先のすぐ近くにある木賊温泉に入ってから近くの民宿に泊まることになった。
私たちが行ったのは、木賊温泉(とくさおんせん)で平野物産店の正面にある岩風呂だった。どうやら1000年以上の歴史があるらしく、鎌倉時代からその地方の村人たちが守ってきたのだと看板には書いてあった。女性用の脱衣所はあるのだが、男性はそのままで、湯船のすぐ前にあるロッカーに入った籠に衣服を脱いで入るという感じだった。入り口には募金箱が設置され、そに300円を入れれば、風呂に入ることができる。温度は43度ほどで少し熱く感じたが、圧縮された温泉エキスが身体に染み入るようで気持ちが良かった。そこは、秘湯という言葉が似合う温泉だった。
民宿では養殖した岩魚の料理を堪能した。岩魚の刺身はサーモンのようで、塩の丸焼きと味噌の丸焼き、その他、山菜や近くでとれた食べ物を味わい、久しぶりに食べ物を味わったような気分だった。食べ物の食感、品ごとの多彩な味付けをしみじみと感じながら食事をした。
祖父と二人で旅行をするのは初めてだった。私は自分の家族といる時、あまり口を開かず、表情もあまり変わらない。それが素で家族であればいい、と思っているのか、楽だからなのか、それは私にも分からない。子供の頃はよく笑い、よく泣いていたと記憶しているが、私は今が心地がいいのだと思う。だから、車の中でも気になったことを話すか、祖父が話したことに相槌を打つだけだった。家族というのがどんなものだか、私には分からないから、機嫌取りや話を引き出したりなども一切しない。でも、無言が続いたとしてもそれは不快ではなかった。それは家族だからだと思う。家族だから素で、別に何かを作らなくてもいいのだと思う。
来年は逆に私が祖父と祖母に旅行をプレゼントしたいと思った。もしかしたら、祖父は友人たちと集まって話をしている方がいいかもしれないから、どうすればいいのか分からない。人を見て、その人が喜ぶものをプレゼントするというのが、こんなにも難しいことなのかと、私は最近になってから知った。家族だから、別に気を使わなくてもいい。というのもあるが、恩をそのまま受け取っておくのは私には耐えられないことだ。
せめて、長生きして欲しい。そうすれば、何か思いつくかもしれないから。
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