卵を孵化させたい男 第十一話 目

謎卵と私の一ヶ月間

12日目

 

カプセルから卵を取り出し、カーテンを閉めると、部屋の電気を消す。

携帯のライトの上に卵を配置する。

 

赤く光った卵は、中に小さな膜とそこから広がる血管を見せてくれる。

中の変化を確認すると、私は安心感を得てブログを書き始める。

 

今や、卵の状態を確認するのは私の日課になっている。

卵は順調に育っており、今日は、中に黒い点のようなものを見つけることができた。

 

卵の中にある丸い膜の中心にできた黒い点が気になり調べてみる目であることが分かった。

「卵 黒い点」

と調べた時には、腐っているという検索結果だったので、少し焦ったが、そんなはずはないと再度

「孵化 過程 黒い点」

と調べて、目だと知り安心した。

 

この後、残り十日足らずで、これから鳥の形へと変貌を遂げるが、成長のスピードの速さに驚くばかりである。

 

子供ができた親というのは、腹の中の生き物が人間の形へと変わっていく過程を楽しみにしているのだと思った。

 

生き物の変化は奇妙であるが、生命の美しさに近いように思う。

日々の変化を私は、楽しみにしている。

早く孵って欲しいと思いつつも私は親鳥として、展覧をしたりなどやることをやろうと思う。

 

卵もそうだが、観察者がいて初めて、生き物の成長を知ることができる。

確認してみなければ、中の卵は腐っているかも分からず、腐っていることにすら気がつかない。

 

今、どんな状態なのかを知ることは大切なことなのだと思う。

卵に限らずとも、予想ではなく、確実に自分の目で見る。

 

そうすることで、妄想と現実をすり合わせていくのだろう。

鳥が生まれることを願うだけではなくて、私にできることをしなければ。


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